毎日更新できるかな

カテゴリ:エガワヒロシ+田村直希( 23 )

「ボクのスニーカー」

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「ボクのスニーカー」

このスニーカーがあれば、何処へでも行けると思っていたんだ。

サハラ砂漠も、スエズ運河も、ナイル川も、

北極にだって行けると思ってた。

鼻を垂らしたボクの世界は、半径1キロにも満たなかったけれど、

想像の世界は、限りない地平線が広がっていたんだ。

だけど、それから様々な登り坂と、曲がり角と、行き止まりを繰り返し、

辿りついた場所はこの場所だった。

誰かの声は聞こえるけれど、ボクの声は届かない世界。

するとスニーカーが急にボクに呟いた。

「僕はまだ行けるよ。穴も開いてないし、ちょっと底は磨り減ったけれど、

空を飛ぶわけじゃなし。キミが声を届けたいなら。」

不安なボクはうつむいたまま、世界の底を見つめていた。

小さな虫が、チューインガムに集まっている。

「キミは声を出したことがあるのかい?声を届ける気はあるのかい?」

スニーカーがボクを見上げながら、挑戦的な声で言う。

小さな虫はそれぞれの役目を黙々とこなす。

チューインガムは少しずつ姿を変えていく。

誰かに踏まれた小さな虫が、体を捻じ曲げて動いてる。

ボクは膝に力を入れて静かに立ち上がった。

もう遅いかもしれないけれど、ボクには行くべき場所がある。

伝えるべき言葉がある。

このスニーカーがあれば、何処へでも行けるんだ。

スニーカーは嬉しそうな顔で世界へ飛び出した。

履き古したスニーカーはなんでも知っている。

靴底のチューインガムは何も知らないけれど。


lyrics by エガワヒロシ
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by tamura_naoki | 2009-09-20 23:22 | エガワヒロシ+田村直希

「チキンレース」

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「チキンレース」

気がつけばいつも、夕暮れは目の前を通り過ぎて、ボクを置き去りにする。

そして訪れる夜は、いつだって長すぎるから、

夜明けまで知らない振りをするんだ。

往生際悪く追いかけたなら、電線が絡み付き、目の前で薄い雲が笑う。

指先は届かないまま、必要じゃない何かに触れる。

ボクが欲しいのはこれじゃない。ボクが欲しいのはこれじゃない。

君が醜く見えるのは、僕の心が腐っているからさ。

悪いのは君じゃない。君はまったく悪くない。 

ないものねだりの週末に、たったひとりのチキンレース。

たったひとりのチキンレース。

lyrics by エガワヒロシ
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by tamura_naoki | 2009-09-14 13:10 | エガワヒロシ+田村直希

「僕に出来ること」

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「僕に出来ること」

我輩は猫であるなんて、

そんな当たり前のことを言ってみたい夜があるんだよ。

やりきれないことがあった日は、こうして寝て過ごすんだ。

どうして僕が猫なのか?誰か教えてくれないか?

あの娘があんなに泣いているのに、

今日は何も言ってやれなかった。

どんなに心を込めても、どんなに気持ちを昂らせても、

僕の口からは「ニャー」しか出てこない。

神様は不公平だ。

僕がもっと饒舌なら、彼女の涙のひとつでも、

笑顔に変えてあげられたのに。

僕に出来ることは、いつも少ししかないんだ。

そして僕はいつも、それさえ満足に出来やしないんだ。

今日も僕は「ニャー」と泣くよ。

君のために。本当は自分のために。

lyrics by エガワヒロシ
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by tamura_naoki | 2009-09-14 13:06 | エガワヒロシ+田村直希